セルフ・エフェメリス™は、測位に必要な軌道情報( エフェメリス) の有効期間を大幅に拡大し、GPS 受信機の電源投入から測位するまでの時間を短縮する技術です。
GPS受信機が測位するには、衛星の軌道情報(エフェメリス)が必要です。GPS受信機は、電源投入すると以下のようなエフェメリスの取得処理を実施し、得られたエフェメリスを使って測位します。
上記 1.~3. について、エフェメリスを取得するまでの時間が最も短いのは 1. のホットスタートで1秒~数秒程度です。続いて、ネットワーク接続とデータ転送を必要とする 2. が短く、最も長いのは 3. です。3. が長いのは、衛星が放送している航法メッセージからエフェメリスを取得するまでに短くても18秒~30秒かかるためで、測位するのに35秒程度の時間を要します。
つまり、1. バックアップ情報があればそれを使用し、なければ 2. アシストサーバから取得、アシストサーバへの接続環境がなければ 3. 航法メッセージから取得するのが早く測位するための優先順位です。【下図を参照】
ここで、常に 1. のホットスタートが使えれば理想ですが、エフェメリスには4時間という有効期限があり、それを過ぎると新しいエフェメリスを取得しなければなりません。従って、GPS受信機の電源投入後に素早く測位できるホットスタートの可能な期間は、電源断からせいぜい4時間程度です。GPS受信機を組み込んだ機器(例えばGPSロガーなど)はこれまで、4時間以上電源を切っていた場合は次に電源を入れて再び測位するまでにホットスタートよりも時間がかかるのが通常でした。
セルフ・エフェメリス™は、衛星から受信したエフェメリスを元に最大72時間まで未来の衛星位置を予測・推定し、軌道情報を受信機内部で生成します。これにより、72時間に渡ってホットスタートと同等の立ち上げ時間を実現します。受信機単独で実現している機能ですので、ネットワーク環境のない、すなわちアシストサーバからのサービスの受けられない環境でも有効に機能します。また、GPS受信機が新しいエフェメリスを受信するたび必要に応じて受信機内部で自動的に計算しますので、ユーザーが面倒な操作をすることなく使用できます。