地震発生時には、すばやい対応で、精度の高い地震情報がテレビやラジオ等を介して配信されています。それを実現する上で、まずは、震源地を早く正確に推定する必要があり、そのためには正確な時間が必要となります。その正確な時間を主に提供しているのがGPSによる1PPSタイミング出力です。
地震大国日本における、地震計へのフルノGPSタイミング設置率は、今ではシェアNO.1という地位を築いており、皆様の安全へ貢献できていることを誇りに考えています。まさに、精度や安定性において、高い信頼をいただいたものと考えています。
ここで、その震源地決定のメカニズムをご紹介します。
地震波は大きく分けて、音波と同じ疎密波の「縦波(P波)」、ねじれ波の「横波(S波)」、地表を伝わる表面波の3種類があります。地震は最初にカタカタと小さく揺れはじめ、続いてゆさゆさという大きな揺れがきますが、最初の「カタカタ」がP波、「ゆさゆさ」がS波の揺れです。
震源地の推定には、P波とS波の速度の違いを利用します。地殻中をP波は8km/秒、S波は4km/秒で伝わるので、震源からの距離が遠くなればなるほど、P波到達からS波到達までの時間が長くなります。P波とS波の速度差とその時間差(S-P時間)が分かれば、震源までの距離rが求められます。
しかし、1つの観測点だけでは、その地点からの半径rの球面のどこかに震源がある、ということしか分かりません。ところが、3つの観測地点A,B,Cそれぞれからの距離rA,rB,rCが分かれば、3つの球面の交点として震源Pが求められます。
そのためには、広いエリアの多くの各観測点に共通した正確な時間を必要とします。その時間を提供しているのがGPSによるタイミング出力です。その出力確度は1μ秒未満です。
地震の発生から、主に被害をもたらすS波の到達までには距離によって数秒~数分の時間があるので、その間に必要な対策を講じることで、被害を最小限におさえることができます。そのためのシステムが地震警報システムです。
気象庁では日本国全域の地震計から常時リアルタイムで送信されるデータを元にして、緊急地震速報を発令しています。地震到達までの数十秒程度の時間差でも、事前にガスの送出を止めるなどの処置で、被害を軽減できます。